この記事の目次
絵の下書き用の鉛筆は消すことを考えて決めると○
●鉛筆で書いたものが消しゴムで消える原理
鉛筆で書いた下書きが消しゴムを使うと消えてしまうのは、鉛筆の粒子が消しゴムに巻き込まれて紙の表面から剥がれてしまうからです。
鉛筆で書く時に、あまり力を入れずに書いたものほど、紙の表面にある繊維の凹凸に入り込まずに表面に乗っただけになっていますから、消しゴムをかけたときにきれいに消えることになります。
●鉛筆の固さと消えやすさの関係
できるだけ紙の表面を傷つけずに、軽い力で書いた下書きの方が跡が残らずきれいに消えます。
そのためには、鉛筆の芯は柔らかめのものを選ぶ方が良いということになります。
HBやそれ以下の硬い鉛筆では、軽く書くと線が薄く見えにくいのです。はっきりした線を書こうとすると力は入り、紙の表面を凹ませせしまうため下書きを消しても跡が残ってしまいます。
力を入れなくてもはっきり見える線が書けて、消した時には跡が残らずきれいに消えること。これが絵の下書きに使う鉛筆のポイントです。
絵の下書きに向いている鉛筆
下書きに使う鉛筆を選ぶ時、もう一つ注意したいのは使用する紙の種類です。
漫画やイラストで使われるケント紙のような表面がつるつるした紙と、水彩画やパステル画で使われる水彩紙などの凹凸の大きい紙では、同じ固さの鉛筆を使っても表現や消えやすさには大きな違いがあります。
あまり硬すぎる(色が薄い)鉛筆や、逆に柔らかすぎる(濃い)鉛筆は避け、HB~4Bを中心に考えると良いでしょう。
また、同じ数字でもメーカーによって固さや濃さには違いがあります。
それだけはなく、温度や湿度によっても書き味が変化しますので、その都度書きやすいものを選ぶ必要があるでしょう。
とはいえ、そこまで細かい違いがわからないという場合もありますし、何より每日使うものであれば入手しやすいことも重要です。
プロがこだわって使うメーカーやブランドの鉛筆もいろいろありますが、何より入手しやすく購入しやすい価格帯のものから自分が使いやすいものを選ぶことが大切だといえます。
あなたに合う下書き鉛筆の見つけ方
鉛筆の書き味は、紙や気温と行った鉛筆以外の要素でも大きく変わります。
そして、書く人によっても使いやすさは大きく違うということを忘れてはいけません。
どんなに品質が良いことで有名な商品でも、自分が使ってみて使いにくいと感じたら「自分には合わない」ということです。
書き味以外にも、太さが自分の手にフィットするか、手にして持ってみた感じでしっくり来るものを選びましょう。
一般的な鉛筆であれば1本あたり数十円からあります。比較的高級なものでも1本百数十円程度でしょう。
自分に合う素材や太さ、濃さや書き味のものに出会うまでいろいろ試してみると良いのではないでしょうか。
また、鉛筆削りを使わずにカッターやナイフで削って出す芯の長さや太さを変えることでも感覚が変わります。
こだわりがある人は、絵の下書きに使うならこれだという鉛筆を模索してみましょう。
絵の下書き鉛筆に適している色について
デジタルで絵を書く作業をしている場合、下書きの線を消さなくても良い画期的な方法があります。
それは水色のシャープペンシルの芯です。
シャープペンシルのカラー芯は、昔から存在していましたが硬すぎたり消しにくいということもあり、あまり使う人は多くありませんでした。
しかし、消しやすく太めの芯のものなどが登場すると、線画をスキャナーで取り込んで作業する人たちの間で評判になりました。
水色の線は、スキャナーで読み込みにくいため少し設定を変えるだけで完全に見えなくすることができます。
つまり、消しゴムをかける作業がほぼ必要なくなり作業の時間が短縮できるようになります。
ペン入れをする時のペンやインクによっては、消しゴムによって薄れたりすることもありますが、消しゴムを使わないためその恐れもなくなります。
絵のアタリに使えばペンや黒鉛筆で書いた時に、見た目を邪魔せずに書きやすいという利点もあります。
鉛筆で絵の下書きを描くときの流れ
鉛筆とシャープペンシルでは、どちらもあとから消しゴムで消せるし使い方としては同じと考えてしまいます。
ですが、絵の下書きには鉛筆の方が向いているという考え方もあるのです。
シャープペンシルの線は、細く均一です。一方鉛筆はシャープペンシルよりも太い線になるため、前の位置に「遊び」があります。デッサンのように大まかな位置決めができるのです。
画力が未熟なうちは、一番良い線を見極めるためには何本も線を引いたり、描き直したりすることが必要です。
鉛筆で塗り重ねたり、逆に消して形を整えるなどしながら完成する形を探ることができます。
大まかな形が決まり、細部のイメージがつかめるようになったら練り消しなどを使って線を薄くしましょう。
デジタル作業の場合は、スキャン後レイヤー濃度を下げて対応することもできます。
最近は、下書きの段階からデジタル作業で行う人も増えていますが、紙を鉛筆を使って書くことは感覚を磨く意味でも大切なことではないかと思います。
なにより、電気も高価な機材も要らず、紙と鉛筆だけあれば絵の練習はいくらでもできます。
鉛筆を使って何度も、たくさんの下書きを書いては修正することを繰り返して、より思い通りの絵が書けるように上達を目指しましょう。